まらやの司法書士合格ブログ

今回は…

肢のウと…肢のエで…分析の課題が出ているので…そちらを中心に検討しようと思います。

●肢のウについて…

信託に関する問題でした。自己信託もそろそろ解禁！来年は…本格的に…まるまる１問…信託で出そうな気配ですね。

（問題　肢ウ）　
信託財産に属する不動産に関する権利が信託の終了により移転した場合には，当該権利の移転の登記の申請と信託の登記の抹消の申請は，一の申請情報によってすることができない。

→×

（分析課題）
この問題においては，『信託の終了により移転』していますが，そうでなく，『他の信託の信託財産になったことにより移転』したことにして，分析してみましょう。


う～ん…実は…よく解ってません（爆）

たぶん…「信託の併合又は分割により不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から他の信託の信託財産に属する財産となった場合」…のことだと思います。

ここが違っていると…ここから先の内容は…全部崩れます(笑)

登記オリンピックのすごいところは…分析問題の解答が発表されない…(笑)

気にせず…信託の併合，分割の話だと思って…話を進めます。


信託の併合，分割の場合…同時に３つの登記を申請することになります。

①所有権等の変更登記
②従前の信託についての信託登記の抹消
③新たな信託についての信託の登記

注意するポイントとしては…

「誰が管理する信託財産なのか？」の場面であって…信託財産の帰属に変更が生じない点。なので…所有権が誰かに移転することはありません。

そして…この３つの登記は…一の申請情報で申請します。

なので…例えば「信託の併合」の場合の登記記録には…

・信託の併合により別信託の目的となった旨の登記
・旧信託登記抹消
・新信託登記

この３つが…同一の順位番号を用いて記録されることになります。


よって…分析課題を検討すると…こんな感じになりますかね？


（問題　肢ウの分析課題）　
信託財産に属する不動産に関する権利が他の信託の信託財産になったことにより移転した場合には，当該権利の変更の登記の申請と，従前の信託についての信託登記の抹消の申請と，新たな信託についての信託の登記の申請は，一の申請情報によってすることができない。

→×


では…さらに補足です…。


信託の併合，分割による権利の変更の登記は…共同申請になります。申請人は…

登記権利者→新たな信託の受託者及び受益者
登記義務者→旧信託の受託者および受益者

また…旧信託の抹消登記と新信託の登記は…受託者の単独申請ですることができます。

さらに注意するポイントとしては…

登記記録上…名前が出ていない受益者が…登記権利者，登記義務者に入ってきてますが…

旧信託の受益者については…そもそも登記識別情報が通知されていないことに注意です。

なので…旧信託の受益者については…２２条本文の規定の適用が除外され…登記識別情報は不要です。

登記識別情報がない場合には…じゃあ～事前通知するの？って感じになってしまいますが…

やはり…受益者は所有権の登記名義人ではないので…住所もわかりません(笑)

そこで…受益者の本人確認としては…印鑑と印鑑証明書をもって行われることになります。

このあたりの知識は…１０４条の２の確認になります。

条文自体に表が入っているので…無理やり表を作っています(笑)

携帯からは表の確認できないと思います。また…条文の文言は…上欄，中欄，下欄となってますが…表が横になっている関係で…左欄，中欄，右欄…みたいな感じで読みかえて下さい…すみませんm(；ω；`m)三(m´；ω；)m



（権利の変更の登記等の特則）
第百四条の二 　信託の併合又は分割により不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から他の信託の信託財産に属する財産となった場合における当該権利に係る当該一の信託についての信託の登記の抹消及び当該他の信託についての信託の登記の申請は、信託の併合又は分割による権利の変更の登記の申請と同時にしなければならない。信託の併合又は分割以外の事由により不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から受託者を同一とする他の信託の信託財産に属する財産となった場合も、同様とする。
２ 　信託財産に属する不動産についてする次の表の上欄に掲げる場合における権利の変更の登記（第九十八条第三項の登記を除く。）については、同表の中欄に掲げる者を登記権利者とし、同表の下欄に掲げる者を登記義務者とする。この場合において、受益者（信託管理人がある場合にあっては、信託管理人。以下この項において同じ。）については、第二十二条本文の規定は、適用しない。

一　不動産に関する権利が固有財産に属する財産から信託財産に属する財産となった場合	受益者	受託者
二　不動産に関する権利が信託財産に属する財産から固有財産に属する財産となった場合	受託者	受益者
三　不動産に関する権利が一の信託の信託財産に属する財産から他の信託の信託財産に属する財産となった場合	当該他の信託の受益者及び受託者	当該一の信託の受益者及び受託者

●肢のエについて…

（問題　肢エ）
契約解除を登記原因とする所有権の移転の仮登記の抹消の申請と当該仮登記に基づく所有権の移転の本登記の抹消の申請は，一の申請情報によってすることができる。

→○

（分析問題）

①　この場合の登録免許税の額は？

②　提供すべき登記識別情報は？


TU講座で…ばっちり習った内容です。

TU講座的には…さらに…もう一問…問題が作れそうです。

③　本登記のみを抹消する場合の，登記の目的は？

まずは…申請書を確認です。

（登記の目的）　○番所有権本登記及び仮登記末梢
（原因）　　　　　年月日解除
（申請人）　権利者　B
　　　　　　　義務者　A
（添付情報）　登記原因証明情報
　　　　　　　　Aの登記識別情報
　　　　　　　　Aの印鑑証明書
　　　　　　　　A，Bの代理権限証明情報
（登録免許税）　金１０００円


では…分析問題の解答です。

①登録免許税は…不動産１個につき，１０００円（先例昭和３６．５．８－１０５３）


②登記識別情報は…本登記の際に通知された登記識別情報だけで足りると思われます。

つまり…仮登記の際に通知された登記識別情報は不要ということですが…改正前の実例と同様の取扱いがされるなら…って感じになります（改正前の登記済証について登記研究３９１号ｐ１０９参照）


③本登記のみを抹消する場合は…「○番所有権本登記抹消」となります。


以上です☆

第１３問は…「登記識別情報」の問題でした。

先生のブログでは…未出の重要先例（先例平18.2.28－523）が紹介されていますね。

その先例を確認する前に…とりあえず第１３問の感想を…(笑)


第１３問で…１番印象に残ったのは…肢のイでした。

不動産登記法の大改正から勉強を始めた僕にとって…「及ぼす変更」の登記がされた場合の登記識別情報の通知に関する先例（先例平17.8.26民2.1919）は…基礎講座の中で…大騒ぎ？になっていたので…すごく印象に残ってました。

何を騒いでるんだろう？…ってくらい…講義の中で強調されてましたね(笑)

デュープロセスも…ブリッジも…直前チェックも…どんどん訂正が入る状態で…いやでも覚えてしまう感じでした(笑)

だから…「やっと出た！」…って感じですかね。

過去問的には…平成３年の第１６問で登記済証に関する問題として出題されています。

（平成３－１６－１）
共有持分上に抵当権を設定する登記がなされた後，その抵当権の効力を所有権全部に及ぼす抵当権の変更の付記登記がされている場合において，当該抵当権の登記の抹消を申請するときは，その申請書に，抵当権変更の登記の登記済証を添付すれば足りる。


さて…

第１３問は…不登２１条の問題なので特に問題はありません。

２１条の確認です。

（登記識別情報の通知）
第二十一条 　登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合その他の法務省令で定める場合は、この限りでない。

申請人自らが登記名義人となる場合なので…

要件は…登記名義人＋申請人…になります。

この場合の「登記名義人」の要件が欠けてる場合の先例が…未出の重要先例（先例平18.2.28－523）として…紹介されてます。

TU講座では…第６回第２５問で扱ってます。

（TU講座　第６回第２５問）
Bの相続人Aが，Bに代わって，売買を原因とするCからBへの所有権の移転の登記を申請した場合，Aは，登記識別情報の通知を受けることができる。

→○

場面は…こんな感じ(笑)

C（登記義務者）→→売買→→亡B（登記権利者）　※相続人A（申請人）


Bさんは…もう死んじゃってますので…相続人のAさんが代わりに登記申請してるわけですが…登記名義人は「亡Bさん」ですよね。

確かに…相続人のAさんは「申請人」ですが…「登記名義人」は亡Bさんで…相続人Aさんが登記識別情報の通知を受けるには…要件が足りません。

でも…申請人である相続人Aさんに対して登記識別情報が通知される先例です。

先生の解説にあるように…亡Bさん名義で登記申請しても…次に相続人Aさんは相続登記をすると考えられるので…

相続人Aさんは…亡Bさん名義の登記識別情報をもらっても実益がないんですよね。

ただ…TU講座で補足的に実益がある場面として紹介されていたのは…

亡Bさんが…生前に…Dさんのために抵当権を設定していたような場合は…当該抵当権の設定登記を申請する場合に…亡Bさん名義の登記識別情報の実益があるようですが…このような場面くらいしか使い道がないようです(笑)

以上です☆

第１４問では…肢エが分析されてますね。

登記オリンピックは…記述式がメインであるためか…肢のエだけで終わっているようです(;^_^A


ちょっと択一的に…肢オも考えてみようと思います。


肢オは…第１欄の場合において，第２欄の登記をする場合，第３欄の添付情報が必要か？…という問題でした。


（第１４問－肢オ）

第１欄；吸収分割がされた場合

第２欄；会社分割を登記原因とする承継会社への所有権の移転の登記

第３欄；分割会社の登記識別情報


会社分割を登記原因とする承継会社への所有権の移転の登記は…吸収分割承継会社を登記権利者…分割会社を登記義務者とする共同申請なので…分割会社の登記識別情報が必要です（不登法２２条）

この知識自体は…平成１５年に過去問で出題済みです。

（平成１５－１６－１）
会社分割を原因とする所有権移転登記は，新設分割株式会社の当該権利に関する登記識別情報（登記済証）を提供しなくても，申請することができる。
→×（先例平１３．３．３０－８６７）



ちょっと問題をいじります。

（第１４問－肢オ改－１）

第１欄；吸収分割がされた場合

第２欄；会社分割を登記原因とする承継会社への所有権の移転の登記

第３欄；登記原因証明情報として，分割契約書及び会社分割の記載のある吸収分割承継会社の登記事項証明書


会社分割があった場合の登記原因証明情報については…

原則；分割契約書＋登記事項証明書

…になります。

よって…答えは○（第３欄の添付情報は必要）



さらに…問題をいじります。

（第１４問－肢オ改－２）

第１欄；吸収分割がされた場合

第２欄；元本の確定前における会社分割を登記原因とする承継会社への根抵当権の一部移転の登記

第３欄；登記原因証明情報として，分割契約書及び会社分割の記載のある吸収分割承継会社の登記事項証明書

元本確定前の根抵当権の場合においては…根抵当権が分割会社と分割承継会社の準共有となるので…分割契約書は不要です。

よって…会社分割があった場合の登記原因証明情報については…例外として…登記事項証明書のみの場合があります。

このように…根抵当権は移転しないと定めても…法律上当然に一部移転しているので…分割契約書が不要となるわけですが…


これにはさらに…分割契約書の記載から移転していないことがわかる場合における…平成１４年の先例に注意が必要です（先例平１４．１２．２５－３２１３）

根抵当権の一部移転の登記が省略できるパターンですが…まさに中間省略登記ですね。

記述式において「別紙問題」として分割契約書の中身をしっかり読み取らせる問題なんか…おもしろいと思ったりします…(;^_^A

以上…TU講座第２回アナリシスｐ５～７，第３回アナリシスｐ３７の知識でした☆彡

登記オリンピック2008②と…登記オリンピック2008③において…午後の部第１２問の分析が載ってますね。

まず…第12問の肢アから…

根抵当権の元本の確定請求の問題ですが…個人的には…確定期日の定めの確認をよく忘れます（汗）

元本確定請求といえば…パターンを分けて…要件・効果の違いをしっかり区別をつける必要がありますね。

①根抵当権者
②設定者
③設定者（合併）
④設定者（会社分割）

それぞれ①～④からの請求があった場合の…「請求時期」…「確定時期」…「元本の確定期日があるときの請求の制限」…「登記の要否」…「単独か共同申請か」…を確認しておくことが必要です。

また…①～④のパターンで…どれか１つダメでも…他の確定請求の可能性を考える必要がありますね。

例えば…設定者から請求する場合…合併があったことを知った日から何か月もたっているため請求できなくても…設定の日から３年を経過しているため…確定請求できる場合もあります。

このあたりは…TU講座でしたら…第３回のレジュメｐ４９にあります。


次に…第12問の肢イ…

過去問でも…既出の肢です。

平成１９－２４－オで問われているので…２年連続同じ内容が問われたことになります。

本当に…記述式での出題が近い感じがしますね。でも…今年待ってたんですけど…(笑)

ここでは…買戻しの特約の登記の抹消が問われていますが…

買戻権の行使に関して問題となる抹消登記の３つのパターンの確認も必要です。

①買戻しの特約の登記の抹消
②買戻しの特約の登記に後れる権利の登記の抹消
③買戻しの特約に設定された権利等の登記の抹消

TU講座でも…第２回－２６から…買戻権の行使の問題が続きますが…

個人的には…ピンクレインボーの方がまとまっている感じがします。

登記オリンピック2008③の分析にある「買戻期間が満了」のケースは…「仮に問題」の出題予想として…ピンクレインボーの真実【第20回】で少しふれられています。


で…次に…第12問の肢ウ…

信託の登記の問題でした。いよいよ来年は…「自己信託」も解禁ですね(笑)


第12問の肢エについては…

本当に…過去問に何度も出ている肢です。おどろくほど繰り返し出てます。

分析に…「地上権者の部分を所有権者に変えてみましょう」…とありますね。

では…変えてみましょう(笑)

変えたパターンは…過去問平成１１－２４－アで出題されています。

（平成１１－２４－ア）
Ｂが死亡したときは所有権移転が失効する旨の付記登記があるＡからＢへの所有権移転登記がされている場合において、Ｂが死亡したときは、Ａは、Ｂの死亡を証する情報を提供して、単独で当該所有権移転登記の抹消を申請することができる。

所有権移転の権利消滅の定めの問題です。

所有権移転が失効するにすぎないため…抹消登記ではなく…BからAへの移転登記になります。

さらに…権利消滅の定めに関しては…平成１４－２７－アに…このような問題もあります。

（平成１４－２７－ア）
所有権移転の権利の消滅に関する定めの登記においては、登記事項として登記権利者が記録されない。


最後に…第12問の肢オ

＞この肢については，『じゃあ，どうやって抹消するのか？』を検討しておきましょう。

譲渡担保の問題ですよね。譲渡担保については…不動産登記法７０条３項の適用がありません。

でも…１項・２項の適用はありますよね？たぶん…(笑)

７０条１項・２項は…すべての権利に共通の単独抹消の特則なので…ふつうに何の迷いもなく…「公示催告の申立＋除権決定」だと思ったのですが…違うんですかね？

ちょっと自信なしです…(笑)

答えは…出るのかな？…(笑)

出なかったら…どうしよう…(笑)

以上です☆


（参考）

（登記義務者の所在が知れない場合の登記の抹消）
第七十条 　登記権利者は、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法 （明治三十一年法律第十四号）第百四十一条 に規定する公示催告の申立てをすることができる。
２ 　前項の場合において、非訟事件手続法第百四十八条第一項 に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で前項の登記の抹消を申請することができる。
３ 　第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。


おまけ☆

ぜひ見て下さい(笑)

ねこの気持ちがわかるかも？です(笑)

→ねこのきもち