【会社法H21-33】事業の譲渡及び譲受けと吸収分割との異同に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。なお,事業の譲渡及び譲受けの相手方及び吸収分割承継会社は,当該譲渡若しくは譲受けをする株式会社又は吸収分割株式会社の特別支配会社ではないものとする。
ア 事業の譲渡をする株式会社は,当該事業を構成する債務を事業の譲受けをする株式会社に移転させるためには,個別にその債権者の同意を得ることはなく,吸収分割契約の定めに従って債務を吸収分割承継会社に移転させることができる。
イ 他の株式会社の事業の重要な一部を譲り受けた株式会社の株主は,当該事業の譲受けに反対であったとしても,株式買取請求権を有しないが,他の株式会社の事業の重要な一部を吸収分割により承継した吸収分割承継会社の株主は,当該吸収分割に反対することにより,株式買取請求権を有することになる。
ウ 子会社は,他の株式会社の事業の一部を譲り受ける場合には,当該他の株式会社の有する親会社の株式を譲り受けて取得することはできないが,他の株式会社の事業の一部を吸収分割により承継する場合には,当該他の株式会社から親会社の株式を承継して取得することができる。
エ 定款に別段の定めがあるときを除き,株式会社が事業の重要な一部の譲渡により譲り渡す資産の帳簿価格がその総資産額として法務省令で定める方法により算出される額の5分の1を超えない場合には,当該株式会社は,事業の重要な一部の譲渡に反対する株主の株式買取請求に応じる必要はないが,吸収分割により吸収分割承継会社に承継させる資産の帳簿価格の合計額がその総資産額として法務省令で定める方法により算出される額の5分の1を超えない場合でも,当該吸収分割株式会社は,吸収分割に反対する株主の株式買取請求に応じなければならない。
オ 株式会社の事業の全部の譲渡の無効及び吸収分割の無効は,いずれも,訴えをもってのみ主張することができる。
1 アイ
2 アウ
3 イオ
4 ウエ
5 エオ
まず恒例の,
過去問ひろば風,色分けです(笑)
【会社法H21-33】事業の譲渡及び譲受けと吸収分割との異同に関する次のアからオまでの記述のうち,
誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。なお,事業の譲渡及び譲受けの相手方及び吸収分割承継会社は,当該譲渡若しくは譲受けをする株式会社又は吸収分割株式会社の特別支配会社ではないものとする。
ア 事業の譲渡をする株式会社は,当該事業を構成する債務を事業の譲受けをする株式会社に移転させるためには,個別にその債権者の同意を得ることはなく,吸収分割契約の定めに従って債務を吸収分割承継会社に移転させることができる。
イ 他の株式会社の事業の重要な一部を譲り受けた株式会社の株主は,当該事業の譲受けに反対であったとしても,株式買取請求権を有しないが,他の株式会社の事業の重要な一部を吸収分割により承継した吸収分割承継会社の株主は,当該吸収分割に反対することにより,株式買取請求権を有することになる。
ウ 子会社は,他の株式会社の事業の一部を譲り受ける場合には,当該他の株式会社の有する親会社の株式を譲り受けて取得することはできないが,他の株式会社の事業の一部を吸収分割により承継する場合には,当該他の株式会社から親会社の株式を承継して取得することができる。エ 定款に別段の定めがあるときを除き,株式会社が事業の重要な一部の譲渡により譲り渡す資産の帳簿価格がその総資産額として法務省令で定める方法により算出される額の5分の1を超えない場合には,当該株式会社は,事業の重要な一部の譲渡に反対する株主の株式買取請求に応じる必要はないが,吸収分割により吸収分割承継会社に承継させる資産の帳簿価格の合計額がその総資産額として法務省令で定める方法により算出される額の5分の1を超えない場合でも,当該吸収分割株式会社は,吸収分割に反対する株主の株式買取請求に応じなければならない。
オ 株式会社の事業の全部の譲渡の無効及び吸収分割の無効は,いずれも,訴えをもってのみ主張することができる。こんな感じですね。
では,直前チェックの内容と比べてみます。
直前チェの実力

ここでは,直チェだけで,どれだけカバーできるのかを検証してみます。
「ch」は,”チェックポイント”を指してます。第33問は,事業譲渡及び譲受けと吸収分割の異同の問題でした。
さっそく,肢ごとに,直チェを確認してみます。
今日はなかなか判断が難しいです。
そして,
結論は,すごいことになります(笑)
肢ア→テーマ11のch15
肢イ→テーマ6のch4
,テーマ11のch12
肢ウ→テーマ2のセクション1のch33
肢エ→テーマ6のch2
,テーマ11のch12
肢オ→
なにやら,めっちゃ,直チェで対応できてるように見えますが,
実は,対応しているのは,
肢ウと肢エの,2つだけです。
本問は,「事業譲渡及び譲受け」と「吸収分割」の2つの内容を含むため,両方をカバーしないと意味がないからです。
例えば,
肢アは,肢の後半の吸収分割についてはフォローできますが,
肢の前半部分,事業譲渡において,「
個別にその債権者の同意を得なければならない」の部分が判断できないと,正誤が判断できないことになります。
先日も書きましたが,
肢を判断する場合,

と判断する場合と,

と判断する場合では,
の判断をする方が負担が重いです。
このように,ひとつの肢の中に,2つの論点を含む場合においても,

を判断する場合には,その両方を検討する必要がありますが,

を判断する場合には,片方が

と判断できれば,他方を検討する必要はなくなります。
例えば,本問だと,肢エが該当します。
前半の事業譲渡の部分が判断できなくても,後半の吸収分割の部分が,明らかに

(分割会社の簡易吸収分割の場合には,反対株主の株式買取請求権は認められていない)なので,
後半部分だけで肢を切ることができます。この場合に,「直チェに載ってた」と言えるかは,別途判断が必要かもしれませんね(笑)
ちなみに,肢アの事業譲渡の「
個別にその債権者の同意を得なければならない」の部分は,しっかり準備して押さえていました。
本試験のとき,心の中で,ガッツポーズしていたような気がします。
今,考えれば,やっぱり勉強の仕方を間違えていたのかもしれません。
直チェ最速

直チェを使って最速で解く方法を考えてみます。
肢アと肢イを保留したあと,
肢ウが

なので,
選択肢の関係から,解答を,「1」,「3」,「5」に絞ります。
次に,
肢エが

なので,
肢エが含まれている選択肢を探します。
なんと,
この2つの肢だけで,解答が確定してしまいます(笑)
ちなみ,
肢オは,例の
「規定がないから
」パターンですね
DPフォロー

直チェで解けない場合に,デュープロでフォローできるかを検証するコーナーです。
直チェで,解けちゃいました
まとめ

個人的な感想です。
上で書きましたが,
「直チェで対応できた」と言えるか,
かなり疑問が残る問題です。
たまたま,選択肢の関係で助けられた問題だと思ってます(笑)
【解答】 5最後に,それぞれの肢の関連条文の確認です。
【肢ア】(債権者の異議)
第789条 次の各号に掲げる場合には,当該各号に定める債権者は,消滅株式会社等に対し,吸収合併等について異議を述べることができる。
① 吸収合併をする場合 吸収合併消滅株式会社の債権者
② 吸収分割をする場合 吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行(当該債務の保証人として吸収分割承継会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む。)を請求することができない吸収分割株式会社の債権者(第758条第8号又は第760条第7号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては,吸収分割株式会社の債権者)
③ 株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合 当該新株予約権付社債についての社債権者
2 前項の規定により消滅株式会社等の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には,消滅株式会社等は,次に掲げる事項を官報に公告し,かつ,知れている債権者(同項の規定により異議を述べることができるものに限る。)には,各別にこれを催告しなければならない。ただし,第4号の期間は,1箇月を下ることができない。
① 吸収合併等をする旨
② 存続会社等の商号及び住所
③ 消滅株式会社等及び存続会社等(株式会社に限る。)の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
四 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず,消滅株式会社等が同項の規定による公告を,官報のほか,第939条第1項の規定による定款の定めに従い,同項第2号又は第3号に掲げる公告方法によりするときは,前項の規定による各別の催告(吸収分割をする場合における不法行為によって生じた吸収分割株式会社の債務の債権者に対するものを除く。)は,することを要しない。
4 債権者が第2項第4号の期間内に異議を述べなかったときは,当該債権者は,当該吸収合併等について承認をしたものとみなす。
5 債権者が第2項第4号の期間内に異議を述べたときは,消滅株式会社等は,当該債権者に対し,弁済し,若しくは相当の担保を提供し,又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし,当該吸収合併等をしても当該債権者を害するおそれがないときは,この限りでない。
【肢イ】(反対株主の株式買取請求)
第469条 事業譲渡等をする場合には,反対株主は,事業譲渡等をする株式会社に対し,自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。ただし,第467条第1項第1号に掲げる行為をする場合において,同項の株主総会の決議と同時に第471条第3号の株主総会の決議がされたときは,この限りでない。
2 前項に規定する「反対株主」とは,次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主をいう。
① 事業譲渡等をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合 次に掲げる株主
イ 当該株主総会に先立って当該事業譲渡等に反対する旨を当該株式会社に対し通知し,かつ,当該株主総会において当該事業譲渡等に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
ロ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
② 前号に規定する場合以外の場合 すべての株主
3 事業譲渡等をしようとする株式会社は,効力発生日の20日前までに,その株主に対し,事業譲渡等をする旨(第467条第2項に規定する場合にあっては,同条第1項第3号に掲げる行為をする旨及び同条第二項の株式に関する事項)を通知しなければならない。
4 次に掲げる場合には,前項の規定による通知は,公告をもってこれに代えることができる。
① 事業譲渡等をする株式会社が公開会社である場合
② 事業譲渡等をする株式会社が第467条第1項の株主総会の決議によって事業譲渡等に係る契約の承認を受けた場合
5 第1項の規定による請求(以下この章において「株式買取請求」という。)は,効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に,その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては,株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
6 株式買取請求をした株主は,事業譲渡等をする株式会社の承諾を得た場合に限り,その株式買取請求を撤回することができる。
7 事業譲渡等を中止したときは,株式買取請求は,その効力を失う。
(反対株主の株式買取請求)
第797条 吸収合併等をする場合には,反対株主は,存続株式会社等に対し,自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
2 前項に規定する「反対株主」とは,次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主をいう。
① 吸収合併等をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合 次に掲げる株主
イ 当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該存続株式会社等に対し通知し,かつ,当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
ロ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
② 前号に規定する場合以外の場合 すべての株主
3 存続株式会社等は,効力発生日の20日前までに,その株主に対し,吸収合併等をする旨並びに消滅会社等の商号及び住所(第795条第3項に規定する場合にあっては,吸収合併等をする旨,消滅会社等の商号及び住所並びに同項の株式に関する事項)を通知しなければならない。
4 次に掲げる場合には,前項の規定による通知は,公告をもってこれに代えることができる。
① 存続株式会社等が公開会社である場合
② 存続株式会社等が第795条第1項の株主総会の決議によって吸収合併契約等の承認を受けた場合
5 第1項の規定による請求(以下この目において「株式買取請求」という。)は,効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に,その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては,株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
6 株式買取請求をした株主は,存続株式会社等の承諾を得た場合に限り,その株式買取請求を撤回することができる。
7 吸収合併等を中止したときは,株式買取請求は,その効力を失う。
【肢ウ】(親会社株式の取得の禁止)
第135条 子会社は,その親会社である株式会社の株式(以下この条において「親会社株式」という。)を取得してはならない。
2 前項の規定は,次に掲げる場合には,適用しない。
① 他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社の有する親会社株式を譲り受ける場合
② 合併後消滅する会社から親会社株式を承継する場合
③ 吸収分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
④ 新設分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
⑤ 前各号に掲げるもののほか,法務省令で定める場合
3 子会社は,相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。
【肢エ】(事業譲渡等の承認等)
第467条 株式会社は,次に掲げる行為をする場合には,当該行為がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)の前日までに,株主総会の決議によって,当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。
① 事業の全部の譲渡
② 事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合)を超えないものを除く。)
③ 他の会社(外国会社その他の法人を含む。次条において同じ。)の事業の全部の譲受け
④ 事業の全部の賃貸,事業の全部の経営の委任,他人と事業上の損益の全部を共通にする契約その他これらに準ずる契約の締結,変更又は解約
⑤ 当該株式会社(第25条第1項各号に掲げる方法により設立したものに限る。以下この号において同じ。)の成立後2年以内におけるその成立前から存在する財産であってその事業のために継続して使用するものの取得。ただし,イに掲げる額のロに掲げる額に対する割合が5分の1(これを下回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては,その割合)を超えない場合を除く。
イ 当該財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額
ロ 当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額
2 前項第3号に掲げる行為をする場合において,当該行為をする株式会社が譲り受ける資産に当該株式会社の株式が含まれるときは,取締役は,同項の株主総会において,当該株式に関する事項を説明しなければならない。
【肢オ】(会社の組織に関する行為の無効の訴え)
第828条 次の各号に掲げる行為の無効は,当該各号に定める期間に,訴えをもってのみ主張することができる。
① 会社の設立 会社の成立の日から2年以内
② 株式会社の成立後における株式の発行 株式の発行の効力が生じた日から6箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては,株式の発行の効力が生じた日から1年以内)
③ 自己株式の処分 自己株式の処分の効力が生じた日から6箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては,自己株式の処分の効力が生じた日から1年以内)
④ 新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては,当該新株予約権付社債についての社債を含む。以下この章において同じ。)の発行 新株予約権の発行の効力が生じた日から6箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては,新株予約権の発行の効力が生じた日から1年以内)
⑤ 株式会社における資本金の額の減少 資本金の額の減少の効力が生じた日から6箇月以内
⑥ 会社の組織変更 組織変更の効力が生じた日から6箇月以内
⑦ 会社の吸収合併 吸収合併の効力が生じた日から6箇月以内
⑧ 会社の新設合併 新設合併の効力が生じた日から6箇月以内
⑨ 会社の吸収分割 吸収分割の効力が生じた日から6箇月以内
⑩ 会社の新設分割 新設分割の効力が生じた日から6箇月以内
⑪ 株式会社の株式交換 株式交換の効力が生じた日から6箇月以内
⑫ 株式会社の株式移転 株式移転の効力が生じた日から6箇月以内
【ここまでの,直チェパワーの確認】第27問

第28問

第29問

第30問

第31問

(

)
※注意
第2版には,平成19年度の過去問が収録されていないので,直チェでフォローできませんが,商登法H19-35-イが収録されていれば,直チェでフォローできることになります。第32問

第33問

では,次回は,第34問を見ていこうと思います。
以上です

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