まらやの司法書士合格ブログ

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最新判例インターネットフォローネタバレ(つづき)

続きです(笑)



憲法

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件(最判平20.11.10)

【事案】
ショッピングセンターにおいて女性客の後ろを付けねらい,デジタルカメラ機能付きの携帯電話でズボンを着用した同女の臀部を撮影した行為が,被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるような卑わいな言動にあたるとされた事例において,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例が,法規定の明確性を要求する憲法31条…に違反しないかが争われた事案。

【判例趣旨】
「憲法31条…違反をいう点については,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例…の『卑わいな言動』とは,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいうと解され,同条1項柱書きの『公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し,正当な理由がないのに,著しくしゅう恥させ,又は不安を覚えさせるような』と相まって,日常用語としてこれを合理的に解釈することが可能であり,…不明確であるということはできないから,前提を欠く」として,結論として,憲法31条…に違反しないと判示した。



損害賠償請求事件(京都地裁平20.12.8)

【事案】
京都市において開催されたいわゆるタウンミーティングに参加申込みをした原告Xらが,同タウンミーティングを主催した被告国及び共催者である被告京都市に対し,被告らによる不正な抽選により落選したとして,また,被告京都市によって原告A及び原告Bがその個人情報を開示されたことからプライバシー等を侵害されたとして,国家賠償請求をした。これに対し,被告国及び被告京都市が作為的な抽選によって原告A及びBを落選させたことは認められるが,原告らの本件タウンミーティングに参加し意見を述べる権利は国家賠償法上保護された利益とはいえないとされた事案。

【判例趣旨】
判例は,「原告らは,原告らの文化力TMイン京都に参加し意見を述べる権利は,参加者が直接国政に参加し,その『生命,自由,幸福追求』に対する権利を実現させ,また,自らの国政に対する意見を表明したり,閣僚や他の参加者の意見を聞いて国政の動きを理解する権利を実現させる上で重要な権利として,憲法21条1項,13条により保障されていると主張する……憲法21条1項は,表現の自由,すなわち,人の内心における精神的作用を外部に公表する精神活動の自由を保障しているところ,右にいう表現の自由の保障とは,国民が内心における精神的作用を外部に公表することを公権力により妨げられないことを意味し,国民が,公権力に対し,内心における精神的作用を外部に公表するための機会の提供など,表現の自由により実効化するための一定の作為を求めることができることまで意味するものではない。また,憲法13条についても,国民の私生活上の自由が国家権力の行使に対して保護されるべきことを規定していると解されるのであって,公権力に対し,一定の作為を求めることができることまで保障するものでないことは,憲法21条1項と異ならない。」とし,原告らが文化力TMイン京都に参加し意見を述べる権利は,憲法21条1項,13条により保障されているとはいえないと判示した。



生活保護の老齢加算廃止と生存権(東京地裁平20.6.26)

【事案】
従来70歳以上の生活保護受給者には,老齢加算に基づく給付がなされていたが,平成18年3月31日に生活保護基準が改定され,同年4月1日からに老齢加算に基づく給付が廃止されたため,住所地を所管する各福祉事務所長から,受給される保護費を減額する旨の生活保護法25条2項による保護変更決定を受けた原告らが,当該決定は生存権を保障した憲法25条に反するなどと主張して,その取消しを求めて出訴した事案。

【判例趣旨】
「(憲法25条)1項の規定する「健康で文化的な最低限度の生活」は,極めて抽象的・相対的概念であって,その具体的な内容は,その時々における文化の発達の程度,経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに,右規定を現実の立法として具体化するに当たっては,国の財政事情を無視することができず,また,多方面にわたる複雑多様な,しかも高度な専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである。」「厚生労働大臣が保護基準を定立するに当たっては,…何をもって健康で文化的な最低限度の生活であると認定判断し,保護の基準を具体的にどのようなものとして設定するかについては,…厚生労働大臣の合目的的な裁量にゆだねられているものと解される。そうすると,保護基準の改定については,厚生労働大臣が,現実の生活条件を無視して著しく低い基準を設定するなど,憲法及び生活保護法の趣旨・目的に反し,法によって与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又は裁量権を濫用した場合に,それが違法と判断されるものというべきである。…以上を子細に検討したところによれば,原告らの主張する点は,いずれも厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱・濫用までを基礎付け得るものではなく,また,他にこれを肯定できる事情はうかがえないのであって,老齢加算を減額・廃止した保護基準の改定に違法(…,憲法25条違反)があったとは認められないといわざるを得ない。」



福島県青少年健全育成条例違反事件(東京地裁平21.3.9)

【事案】
旧福島県青少年健全育成条例(以下「本条例」という。)は、
(1)その内容が著しく青少年の性的感情を刺激しその健全な育成を阻害するおそれのあるものと知事が指定した図書等の「有害図書類」を青少年に販売すること等を規制していた。

(2)「自動販売機等」を、店員と「客とが直接対面する方法によらずに販売又は貸付けを行うことができる設備を有する機器」と定義し,図書類の販売等を業とする者は,その設置する自動販売機等に,有害図書類を販売又は貸付けの目的で収納してはならないとし、違反者に罰則を科すと共に、自動販売機等を設置する場合には,知事への届出を義務付けていた。

かかる条例の下、 (1)被告人Aが取締役としてその業務全般を統括していた被告会社は,DVD等の販売機(以下「本件機器」という。)を設置したが,本条例に定める届出を行わず,本件機器に本条例が定める有害図書類であるDVD1枚を販売目的で収納した。

(2)設置場所内にはセンサーがあり,客を感知すると,設置された監視カメラが作動し,客の画像が,監視センターのモニターに送信される。監視センターには複数のモニターがあり、監視員が交代で監視に当たっており、年齢に疑問がある場合には,購入不可能な状態に置くこととされていたが、モニター画面では,必ずしも客の容ぼう等を正確に判定できるとはいえない状態にあった上,客が立て込んだ時などには18歳未満かどうか判定が困難な場合でも購入可能なように操作することがあった。

(3)原判決は,本件機器は本条例にいう「自動販売機」に当たり,これに有害図書類であるDVDを収納した行為は,本条例21条1項,34条2項,35条に当たるとした。

(4)被告人は上記条例が憲法21条1項、22条1項、31条反するとして上告した。

【判例趣旨】
(1)上記の事実関係によれば,本件機器が対面販売の実質を有しているということはできず,本件機器が客と対面する方法によらずに販売を行うことができる設備を有する機器である以上,「自動販売機」に該当することは明らかである。

(2)本条例の結果、青少年以外の者に対する関係においても,有害図書類の流通を幾分制約することにはなるが,それらの者に対しては,書店等における販売等が自由にできることからすれば,有害図書類の「自動販売機」への収納を禁止し,その違反に対し刑罰を科すことは,青少年の健全な育成を阻害する有害な環境を浄化するための必要やむを得ないものであって,憲法21条1 項,22条1項,31条に違反するものではない。なお,上記のとおり,本件機器は「自動販売機」に該当するのであるから,本件機器に上記規制を適用しても憲法の上記各条項に違反しないことは明らかというべきである。



民法

預金払戻請求事件(最判平20.10.10)

【事案】
不当利得返還義務を負担する上告人がその口座を有する銀行である被上告人に対して普通預金の払戻しを求めたところ,被上告人が,上告人が払戻しを求める金額に相当する預金は,原因となる法律関係の存在しない振込みによって生じたものであることを理由として,上告人の払戻請求が権利の濫用に当たると主張した事案。

【判例趣旨】
「振込依頼人から受取人として指定された者(以下「受取人」という。)の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは,振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず,受取人と銀行との間に振込金額相当の普通預金契約が成立し,受取人において銀行に対し上記金額相当の普通預金債権を取得するものと解するのが相当であり, …受取人の普通預金口座への振込みを依頼した振込依頼人と受取人との間に振込の原因となる法律関係が存在しない場合において,受取人が当該振込みに係る預金の払戻しを請求することについては,払戻しを受けることが当該振込みに係る金員を不正に取得するための行為であって,詐欺罪等の犯行の一環を成す場合であるなど,これを認めることが著しく正義に反するような特段の事情があるときは,権利の濫用に当たるとしても,受取人が振込依頼人に対して不当利得返還義務を負担しているというだけでは,権利の濫用にあたるということはできないものというべきである。」



テレビ番組における弁護士であるコメンテーターが刑事事件の弁護人である弁護士に対する懲戒請求を呼びかけるなどの発言をしたことが,名誉毀損,不法行為にあたるとされた事例(広島地裁平成20年10月2日 判例時報2020号)

【事案】
Xらは少年A(犯行当時18歳)による殺人事件(本件刑事事件)の差戻し控訴審等の弁護人であったが,当時,差戻し控訴審でAに対する死刑判決が言渡される可能性があり,Xらの弁護方針,弁護活動が社会的な議論の対象になるなどしていた。弁護士でテレビタレントであったYは某テレビ局の番組においてXらの活動を批判し,Xらに対して弁護士会に懲戒請求する旨の内容の発言(本件発言)をした。本件は,これにより,Xらが,経済的損害,精神的損害を被ったと主張し,Yのテレビ番組における他の弁護士Xらに対する不法行為の成否が問題となった事案。

【判例趣旨】
「弁護士について懲戒の事由があると思慮する者は,当該弁護士の所属弁護士会に対し,自ら懲戒請求を申し立てれば,十分であって,公衆に対し特定の弁護士会に対する懲戒請求をするように呼びかけ,当該弁護士に対し多数の懲戒請求をさせる必要があると解すべき場合は一般に想定できない。殊に,マスメディアを通じて公衆に対して特定の弁護士に対する懲戒請求をするように呼びかけ,弁護士に極めて多数の懲戒請求に対応せざるを得なくするなどして不必要な負担を負わせることは,弁護士会による懲戒制度を通じた指導監督に内在する負担を超え,当該弁護士に不必要な心理的物理的負担をおわせて損害を与えるものとして,上記弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らして相当性を欠くものと判断され,不法行為に該当すると判断される。」と判示した。



過失相殺において考慮される被害者側の過失(最高裁平成20年7月4日)

【事案】
暴走族の仲間であったAとBは,友人ら20名とともに, Aが運転する自動二輪車にBがヘルメットを着用せず二人乗りして暴走行為を行なっていたところ, C警察官は付近の住民からその旨の通報を受けた。C警察官はこれを取り締まるため, Aが運転しBが同乗していた自動二輪車が走行してくる車線を完全にふさぐような形で停車したところ, Aが前方注意義務違反によりCが停めていたパトカーに衝突し,同乗していたBが翌未明に死亡した事案。 Bの相続人である被上告人は,パトカーの運転供用者である上告人に対し自動車損害賠償保障法3条に基づき損害賠償を請求したが,過失相殺をするにあたって,Aの過失を考慮できるかどうかが争われた。

【判例趣旨】
「…本件運転行為は,BとAが共同して行っていた暴走行為から独立したAの単独行為とみることはできず,上記共同暴走行為の一環をなすものというべきである。したがって,上告人との関係で民法722条2項の過失相殺をするに当たっては,公平の見地に照らし,本件運転行為におけるAの過失もBも過失として考慮することができると解するべきである」として,行為の一体性を評価して,Aの過失を考慮することができるとした。



供託金還付帰属確認請求本訴,同反訴事件(最高裁平成21年3月27日)

【事案】
1 XがYに譲渡した請負代金債権について,債務者が債権者不確知を供託原因として供託をした。本件本訴は,Xが,上記請負代金債権には譲渡禁止特約が付されていたから,上記債権譲渡は無効であると主張して,Yに対し,Xが上記供託金の還付請求権を有することの確認を求めるものであり,本件反訴は,Yが,Xに対し,上記債権譲渡が有効であるとして,Yが上記供託金の還付請求権を有することの確認を求めるものである。

【判例趣旨】
2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1) Xは,平成17年3月25日に特別清算開始決定を受け,同手続を遂行中の株式会社である。Yは,会員に対する貸付け,会員のためにする手形割引等を目的とする法人である。
(2) XとYは,平成14年12月2日,XがYに対して甲債権(XとYとの間の手形貸付取引に基づき,YがXに対して現在及び将来有する貸付金債権及びこれに附帯する一切の債権)の根担保として乙債権(XがAに対して取得する次の債権のすべてを譲渡する旨の債権譲渡担保契約(以下「本件契約」という。)を締結した。
(3) Xは,Aに対し,工事代金債権(以下,「本件債権」という。)を取得した。
(4) 本件債権には,XとAとの間の工事発注基本契約書及び工事発注基本契約約款によって,譲渡禁止の特約が付されていた。
(5) Aは,当該債権について,それぞれ債権者不確知を供託原因として金員を供託した。

3 原審は「債権の譲渡禁止特約に反してされた債権譲渡は無効である。本件債権には譲渡禁止特約が付されており,その譲渡についてAの承諾があったと認めることはできないので,本件契約に基づく本件債権の譲渡(以下「本件債権譲渡」という。)は無効である。Yは,本件債権譲渡の無効を主張できるのは債務者であるAだけであると主張するが,そのように解することはできない。」と判示して,Xの本訴請求を認容し,Yの反訴請求を棄却すべきものとした。

4 最高裁判所は「 (1) 民法は,原則として債権の譲渡性を認め(466条1項),当事者が反対の意思を表示した場合にはこれを認めない旨定めている(同条2項本文)ところ,債権の譲渡性を否定する意思を表示した譲渡禁止の特約は,債務者の利益を保護するために付されるものと解される。そうすると,譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は,同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しないのであって,債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り,その無効を主張することは許されないと解するのが相当である。 (2) これを本件についてみると,前記事実関係によれば,Xは,自ら譲渡禁止の特約に反して本件債権を譲渡した債権者であり,債務者であるAは,本件債権譲渡の無効を主張することなく債権者不確知を理由として本件債権の債権額に相当する金員を供託しているというのである。そうすると,Xには譲渡禁止の特約の存在を理由とする本件債権譲渡の無効を主張する独自の利益はなく,前記特段の事情の存在もうかがわれないから,Xが上記無効を主張することは許されないものというべきである。」として原審を破棄自判した。

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刑法

道路交通法違反,道路運送車両法違反,自動車損害賠償保障法違反,危険運転致死被告事件(最判平20.10.16)

【事案】
被告人Xは,普通乗用自動車を運転していたが,パトカーで警ら中の警察官に赤信号無視を現認され,追跡されて停止を求められたにもかかわらず,そのまま逃走し,信号機により交通整理の行われている交差点を直進するにあたり,他の車両が停止しているのを見て,赤色信号だろうと思ったものの,パトカーの追跡を振り切るため,同信号機の表示を意に介することなく,時速約70kmで同交差点内に進入し,折から同交差点内を横断中の歩行者をはねて死亡させたという事例で,当該Xの行為が,危険運転致死傷罪の「赤色信号を…殊更に無視し」た行為(刑法208条の2第2項後段)にあたるか,「殊更に無視し」の意義が争われた事案。

【判例趣旨】
判例は「赤色信号を『殊更に無視し』とは,およそ赤色信号に従う意思のないものをいい,赤色信号であることの確定的な認識がない場合であっても,信号の規制自体に従うつもりがないため,その表示を意に介することなく,たとえ赤色信号であったとしてもこれを無視する意思で進行する行為も,これに含まれると解すべきである。」と判示したうえ,被告人Xの上記行為について,赤色信号を「殊更に無視し」た行為にあたるとして,危険運転致死罪の成立を認めた。



住居侵入,強制わいせつ致傷,傷害被告事件(最判平20.1.22)

【事案】
被害者宅に侵入し,就寝中の被害者が心神喪失状態であることに乗じてわいせつな行為をしたが,被害者が目を覚まして,被告人に対し「お前,誰やねん。」などと強い口調で問いただすとともに,被告人着用のTシャツ背部を両手でつかんだところ,その場から逃走するために被害者に暴行を加えて傷害結果を発生させた事例について,強制わいせつ罪の終了後の暴行により被害者を負傷させたことが強制わいせつ致傷罪にあたるかどうかが争われた事案。

【判例趣旨】
就寝中の被害者にわいせつな行為をした者が,覚せいした被害者から着衣をつかまれるなどされてわいせつな行為を行なう意思を喪失した後に,その場から逃走するため,被害者を引きずるなどした暴行は,上記準強制わいせつ行為に随伴するものであり,これによって被害者に傷害を負わせた場合には,強制わいせつ致傷罪が成立する。



自招侵害に対する正当防衛を否定した事例(最判平20.5.20)

【事案】
被告人が被害者Aの左頬を一回殴打した後逃走を図ったが,Aが被告人を追いかけ後方から被告人の背中の上部または首付近を強く殴打したので,被告人は携帯していた特殊警棒でAを数回殴打し,加療3週間を要する傷害を負わせた事案。弁護人は,被告人の傷害行為は正当防衛にあたると主張し,上告した。

【判例趣旨】
最高裁は,本件上告趣意は上告理由にあたらないとした上で,職権により正当防衛の成否について次のように述べた。
「…前記の事実関係によれば,被告人は,Aから攻撃されるに先立ち,Aに対して暴行を加えているのであって,Aの攻撃は,被告人の暴行に触発された,その直後における近接した場所での一連,一体の事態ということができ,被告人は不正の行為により自ら侵害を招いたものであるといえるから,Aの攻撃が被告人の前記暴行の程度を大きく超えるものでないなどの本件の事実関係の下においては,被告人の本件傷害行為は,被告人において何らかの反撃行為に出ることが正当とされる状況における行為とはいえないというべきである。そうすると,正当防衛の成立を否定した原判断は,結論において正当である。」



電磁的公正証書原本不実記録,同供用,横領被告事件(最判平21.3.26)

【事案】
1 Xは,平成17年2月25日に成立した,A株式会社(以下「A」という。)及び医療法人B会の2者間,並びに,A,破産者C破産管財人弁護士D及びB会の3者間の各裁判上の和解(以下「本件和解」という。)に基づき,同日,Aから上記D及びB会に順次譲渡されたものの,所有権移転登記が未了のためAが登記簿上の所有名義人であった本件建物を,Aの実質的代表者として,B会のために預かり保管中であったものであるが,医療法人E会理事長Fほか2名と共謀の上,本件建物及びその敷地である本件土地に設定されていた本件地上権の各登記簿上の名義人が,いずれもAであることを奇貨とし,その各登記簿上にE会を登記権利者とする不実の抵当権設定仮登記をすることにより,上記D及び本件建物で病院を経営していたB会から原状回復にしゃ口して解決金を得ようと企て,真実は,AがE会から5億円を借り受ける金銭消費貸借契約を締結した事実並びにその担保として本件建物及び本件地上権に係る抵当権設定契約を締結した事実がないのに,同年3月11日ころ,法務局出張所において,登記官に対し,本件建物及び本件地上権につき,E会を登記権利者,Aを登記義務者とし,上記内容の虚偽の金銭消費貸借契約及び抵当権設定契約を登記原因とする本件建物及び本件地上権に係る各抵当権設定仮登記の登記申請書等関係書類を提出し,情を知らない登記官をして,本件建物及び本件土地の登記簿の原本として用いられる電磁的記録である各登記記録にそれぞれその旨の記録をさせ,そのころ,同所において,その各記録を閲覧できる状態にさせ,もって,公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせて,これを供用するとともに,本件建物を横領した。

【判例趣旨】
2 所論は,

(1)本登記とは異なり,仮登記には順位保全の効力があるだけであるから,横領罪は成立しない。
(2)第1審判決が,AとE会との間で本件建物に抵当権を設定した事実はないとして,本件仮登記を了した
ことは電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪に当たるとする一方で,横領罪にも当たるとしているのは自己矛盾である。

旨主張する

3 しかしながら,最高裁は「まず,本件仮登記の登記原因とされたAとE会との間の金銭消費貸借契約及び抵当権設定契約は虚偽であり,本件仮登記は不実であるから,電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪が成立することは明らかである。そして,Xは,本件和解により所有権がB会に移転した本件建物を同会のために預かり保管していたところ,共犯者らと共謀の上,金銭的利益を得ようとして本件仮登記を了したものである。仮登記を了した場合,それに基づいて本登記を経由することによって仮登記の後に登記された権利の変動に対し,当該仮登記に係る権利を優先して主張することができるようになり,これを前提として,不動産取引の実務において,仮登記があった場合にはその権利が確保されているものとして扱われるのが通常である。以上の点にかんがみると,不実とはいえ,本件仮登記を了したことは,不法領得の意思を実現する行為として十分であり,横領罪の成立を認めた原判断は正当である。また,このような場合に,同罪と上記電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪が併せて成立することは,何ら不合理ではないというべきである(なお,本件仮登記による不実記録電磁的公正証書原本供用罪と横領罪とは観念的競合の関係に立つと解するのが相当である。)。」として電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪とともに,横領罪が成立するとした。



商法

株主総会決議取消等請求事件(京都地裁平20.9.24)

【事案】
Y株式会社の臨時株主総会において,取締役Xの解任決議をしたが,XがYに対して,右決議には,定足数不足の取消事由があるとして,解任決議の取消を求めた事案。本件では,Xは会社法(以下「法」という。)309条1項及び341条により,定足数は議決権の過半数となると主張し,YはYの定款18条及び法341条により,もしくは定款22条により定足数は議決権の3分の1となるなどと主張した。

【判例趣旨】
「本件定款18条は「法令又は定款に別段の定めがある場合を除き出席株主の議決権の過半数を以って決する」と規定する。……この点,取締役解任決議について,旧商法は定足数を総株主の議決権の過半数又は定款で定めた議決権数(3分の1未満とすることはできない)を有する株主の出席とし,決議は出席株主の議決権の3分の2以上の多数としていた(特別決議事項〔旧商法257条,343条〕)から,かかる旧商法の規定は定款18条の法令に別段の定めがある場合に該当し,旧商法下では取締役解任決議について定款18条が適用されることはなかった。そして,法は取締役解任決議の可決要件として出席株主の議決権の過半数と定めて普通決議と同要件とした。しかし,定足数は議決権を行使できる株主の議決権の過半数(定款で3分の1以上の割合を定めた場合はその割合)と規定し,法309条の普通決議とは定足数の緩和の下限で異なる規定をした。また,旧商法では取締役解任決議に定款18条が適用されたことはなかったことからすると,改正後は,取締役解任決議の定足数を定款により法定の定足数(過半数)から法の規定に従って引き下げる意思を有する場合には,その旨を定款に記載すべきである。
しかし,……本件定款18条に取締役解任決議につき定足数要件を過半数から緩和する旨を明記していないことからすると,本件定款18条から取締役解任決議の定足数を過半数から引き下げるものと読みとることはできない。……これに対し,被告は本件定款 22条が取締役選任決議の定足数を議決権の3分の1と規定し,法が取締役選任決議と取締役解任決議の議決要件を同列に扱っている(法341条)ことから被告の取締役解任決議の定足数も選任決議のそれと同等に議決権の3分の1と解するべきである旨主張する。
……しかし,法341条では……明確に選任及び解任の両場合を明記しているのに対して,本件定款22条が適用又は類推適用されるべきものとはいえず,被告の上記主張は理由がない。」と判示したうえで,本件Y会社による株主総会における取締役Xの解任決議は,定足数要件を満たさないもとで行われたとして,決議の方法に瑕疵があるとしてXの取消の訴えを認容した。



株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営む株主による株主名簿の閲覧謄写請求権(東京高裁20.6.12)

【事案】
不動産開発を手がけるX社が,マンション管理大手であるY社との事業統合を目指してY社の株式の16.16%を保有しており,株主提案権を行使するために委任状勧誘の目的でY社に対して株主名簿の閲覧謄写を請求したところ, Y社により拒絶され,X社が株主名簿の閲覧謄写の仮処分を申し立てた事案。

【判例趣旨】
従来は,実質的な競争関係にあることのみで株主名簿の閲覧謄写請求を否定してきたが,本決定では,
「(会社法125条3項)3号は,請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み,
又はこれに従事するものであるときには,請求者がその権利の確保又は行使に関する調査の目的で請求を行ったこと
を証明しない限り,株式会社は同条2項の請求を拒むことができることとしたものであり,
株式会社が当該請求を拒むことができる場合に該当することを証明すべき責任を上記の通り転換すること
を定める旨の規定である。」と述べ,X社の申立を却下した原決定を取消してX社の申立を容認した。



株式会社の取締役に対する損害賠償債権の消滅時効(最判平20.1.28)

【事案】
預金保険法附則7条1項所定の整理回収業務を行なう被上告人が,銀行の取締役であった上告人に対し,融資の際に上告人に忠実義務,善管注意義務違反があったと主張して,旧商法266条1項5号(現会社法 423条)に基づく損害賠償をする事案であり,同損害賠償請求権の消滅時効期間が争われた。

【判例趣旨】
「…商法266条1項5号に基づく取締役の会社に対する損害賠償責任は,取締役がその任務を懈怠して会社に損害を被らせることによって生ずる債務不履行責任であるが,法によってその内容が加重された特殊な責任であって,商行為たる委任契約上の債務が単にその態様を変じたにすぎないものということはできない。
また,取締役の会社に対する任務懈怠行為は外部から容易に判明し難い場合が少なくないことをも考慮すると,同号に基づく取締役の会社に対する損害賠償責任については商事取引における迅速決済の要請は妥当しないというべきである。…以上によれば,商法266条1項5号に基づく会社の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は,商法522条所定の5年ではなく,民法167条1項により10年と解するのが相当である。」



株主総会等決議不存在確認請求事件(最判平21.4.17)

【事案】
1 本件は,Xの株主であり平成19年6月28日当時Xの取締役であったYらが, Xに対し,(1) 同日に開催されたとするXの臨時株主総会における,Yらを取締役から,Bを監査役から解任し,新たな取締役及び監査役を選任することを内容とする株主総会決議(以下「本件株主総会決議」という。),(2) 同日に新たに選任されたとする取締役らによって開催されたとするXの取締役会における代表取締役選任決議(以下,上記両決議を併せて「本件株主総会決議等」という。)の不存在確認を求める事案である。なお,記録によれば,Yらは,平成19年7月10日,福島地方裁判所に本件訴訟を提起したが,Xは,第1審係属中の同年9月7日,破産手続開始の決定を受け,破産管財人が選任されている。

【判例趣旨】
2 原審は,Xが破産手続開始の決定を受け,破産管財人が選任されたことにより,本件株主総会決議で選任されたとする取締役らは,いずれも,Xとの委任関係が当然終了してその地位を喪失し,他方,同決議で解任されたとする取締役らについても,本件訴訟で勝訴したとしても,破産手続開始の時点で委任関係が当然終了したものと扱われるので,Xの取締役らとしての地位に復活する余地はないから,特別の事情がない限り,本件株主総会決議等不存在確認の訴えは訴えの利益がない。そして,同訴えにつき訴えの利益を肯定すべき特別の事情があるとは認められないとして,Yらの訴えをいずれも却下した。
3 しかしながら,最高裁は「民法653条は,委任者が破産手続開始の決定を受けたことを委任の終了事由として規定するが,これは,破産手続開始により委任者が自らすることができなくなった財産の管理又は処分に関する行為は,受任者もまたこれをすることができないため,委任者の財産に関する行為を内容とする通常の委任は目的を達し得ず終了することによるものと解される。会社が破産手続開始の決定を受けた場合,破産財団についての管理処分権限は破産管財人に帰属するが,役員の選任又は解任のような破産財団に関する管理処分権限と無関係な会社組織に係る行為等は,破産管財人の権限に属するものではなく,破産者たる会社が自ら行うことができるというべきである。そうすると,同条の趣旨に照らし,会社につき破産手続開始の決定がされても直ちには会社と取締役又は監査役との委任関係は終了するものではないから,破産手続開始当時の取締役らは,破産手続開始によりその地位を当然には失わず,会社組織に係る行為等については取締役らとしての権限を行使し得ると解するのが相当である。したがって,株式会社の取締役又は監査役の解任又は選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に当該株式会社が破産手続開始の決定を受けても,上記訴訟についての訴えの利益は当然には消滅しないと解すべきである・・・。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない」。として,本件を原審に差し戻した。


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[ 2009/11/29 08:48 ] 条文・判例・先例 | TB(-) | CM(-)
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